おすすめ笑える本

 

 

イベント自粛、外出自粛。

テレビを点ければ、スマホを開けば新型コロナの話題で持ちきり。

 

 

私は少々(?)うんざりしている。

 

とはいえ、今は仕方のないこと。外出を自粛し、近所のコンビニへもマスクを装備して出掛け、帰ると即刻ゴシゴシ手を洗いうがいをする。

 

でも、気晴らしも欲しくなる。

読んでいる間は暗いニュースを忘れられ、親に見られようが「アンタ何時間スマホいじってるの!?」と言われない。

そうか、本を読めばいい。

 

というわけで(?)、これまで読んで爆笑した作品を7冊取り上げてみる。

 

 

  1. ドミノ
  2. 陽気なギャングが地球を回す
  3. キケン
  4. 犬は勘定に入れません
  5. ボートの三人男
  6. ワニの町に来たスパイ
  7. 聖エセルドレダ女学院の殺人

 

 

前半3冊は日本人作家の作品で、後半4冊は外国人作家による翻訳モノ。

いずれも気楽にサクッと読めて、笑える作品だ。

以下にてそれぞれのあらすじと読みどころをご紹介する。

 

 

 

 

あらすじ

一億円の契約書を待つ、締切直前のオフィス。オーディション中、下剤を盛られた子役の少女。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。待ち合わせ場所に行き着けない老人。老人の句会仲間の警察OBたち。真夏の東京駅、二七人と一匹の登場人物はそれぞれに、何かが起こる瞬間を待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく! 抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作!    (「BOOK」データベースより引用)

 

初めてページを開いた人は驚くだろう。登場人物の自己紹介が載っているのだ。(登場人物一覧ではなく。)

そして、登場人物が多い。動物までいる。一見全く関連性を見出だせない登場人物達であるが、実際にほとんど関連性がない。

しかし全てのキャラクターがこの「ドミノ」の一部となって、物語を大きく動かしてゆく。

(ちなみに、登場人物が多いのは覚えづらくて苦手という方もご心配なく。それぞれのキャラクターが個性的だし、年齢も性別もまるで違うので、何となく分かる。そして、何となくで十分楽しめる)

 

それぞれの登場人物達がそれぞれの目的で動いていたら、偶然が重なって大きな流れができる…いわゆる群像劇の傑作の一つだと思っている。スピード感もあって一気読み必至。何より笑えるし、読み終えた後は晴れやかな気持ちになる。

 

※今年の2月に「ドミノin上海」が出版された。単行本なのでまだ読めていないが、文庫化されたら即刻読もうと思っている。…が、待ち切れる自信はない。

 

ドミノ (角川文庫)

ドミノ (角川文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2004/01/23
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!  (Amazon.com商品ページより引用)

 

あらすじを読んで、「??」となる人も多いのではないか。私はなった。銀行強盗なのに、嘘を見抜く/スリ/演説/体内時計?なんで??しかし、読み始めたらすぐに納得してしまう。なーるほどね。確かに銀行強盗に欠かせない才能だ(実際のところは分からないが…)。

 

タイトルからして分かると思うが、ライトで読みやすい。キャラクターも少ないし。しかし、伊坂幸太郎の独特な語り口や"ちょっとヘン"な登場人物達のお陰で疾走感と満足感は十分味わえる。ゲラゲラ笑うというよりは、ひねりが効いていてクスッと笑える感じかな?

 

ちなみにこちらの本は本書を含め3冊のシリーズになっている。

陽気なギャングが地球を回す→陽気なギャングの日常と襲撃→陽気なギャングは三つ数えろ

3冊とも文庫化済みで、陽気なギャング達の物語を気軽に存分に楽しめる。

 

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

ごく一般的な工科大学である成南電気工科大学の「機械制御研究部」。略称「機研“キケン”」のこのサークルは、犯罪スレスレの実験や破壊的行為の数々から「キケン=危険」とおそれられていた。激しすぎる「新入生歓迎実験」、学祭での『奇跡の味』の模擬ラーメン店、驚愕の戦法で挑んだロボット相撲大会…。「キケン」な理系男子たちが繰り広げる、事件だらけ&爆発的熱量の青春の日々。本書は、その黄金期の記録である!  (「BOOK」データベースより引用)

 

個人的にアニメ化したら面白そうだと思いながら早数年。未だに首を長くして待ち続けている作品だ。最高にアホでユニークな理系大学生たちが青春を謳歌するコメディ作品で、笑わずにはいられない。そのため、私は絶対に電車内では読まないようにしている。

 

多分、アニメファンには特別ウケると思う。コミカルで、ゲラゲラ笑いながら読み終えた後は爽快感を感じる作品だ。

…アニメ化しないかな?

 

 

キケン (角川文庫)

キケン (角川文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2016/06/17
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

人類はついに過去への時間旅行を実現した。その技術を利用し、オックスフォード大学は、第二次大戦中、空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂復元計画に協力している。史学部の大学院生ネッドは、大聖堂にあったはずの“主教の鳥株”を探せと計画の責任者レイディ・シュラプネルに命じられた。だが、21世紀と20世紀を何度も往復して疲労困憊、とうとう過労で倒れてしまった!?SFと本格ミステリを絶妙に融合させた話題作。  (Amazon.com商品ページより引用)

 

あらすじだけを読むと、これって笑える話なの?と思われるかもしれないが、とても笑える。

疲労で倒れてしまった主人公は、教授の計らいでタイムトラベル技術を利用し、優雅で平和なヴィクトリア朝へと休暇に出かける…のだが、そこで出会う個性的な時代人達に翻弄される。和金オタクの元大佐、その娘でおつむの弱いお嬢さん、そのお嬢さんに恋い焦がれる若者とその飼い犬……

そこに巻き起こる騒動は抱腹絶倒もの。もちろんそこにタイムトラベル要素もふんだんに盛り込まれており、コメディ/SF/ミステリ と一作で3度美味しい傑作である。

 

ちなみに、こちらの作品はオックスフォード大学史学部タイムトラベルシリーズの全4作のうちの2作目。だが、この作品のみ読むのでも全く問題なく楽しめる。

シリーズ1作目はペストの蔓延する中世へのタイムトラベルでシリアス寄り作品。3~4作目は続きもので第二次世界大戦下のイギリスへのタイムトラベルでコメディとシリアスの混在する作品。どれも自信をもっておすすめできる傑作だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

気鬱にとりつかれた三人の紳士が犬をお供に、テムズ河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどり、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅が続く。数々のオマージュ作品を生み、いまだ世界で愛読されている英国ユーモア小説の古典。(「BOOK」データベースより引用)

 

この作品は、1889年に発表された作品である。今から130年以上前ということだ。X線の発見よりも、第1回近代オリンピックよりも前。第一次世界大戦より25年も前のものだ。

それでも、めちゃくちゃ面白い。三人の(ちょっと冴えない)男たちと一匹の犬の、コミカルで純粋にただ笑える肩に力の要らない小説だ。古典…に入るかもしれないが、軽快な文章で訳も小難しくなく、ただ楽しめる。とにかく無邪気に笑いたい時におすすめ。

 

ちなみに、この作品をオマージュしたのが上記で取り上げたコニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません」だ。上記の作品中でもこの作品がしばしば言及され、ちらっと一匹と三人が出てくるシーンもある。

 

 

 

ボートの三人男 (中公文庫)

ボートの三人男 (中公文庫)

 

 

 

 

 

 

  • ワニの町へ来たスパイ (ジャナ・デリオン /訳:島村浩子) 2012 (現在創元推理文庫にて販売中)

あらすじ

超凄腕CIA秘密工作員のわたしは、 潜入任務でちょっぴり派手に暴れたせいで、 狙われる身となり一時潜伏を命じられる。 ルイジアナの田舎町シンフルで、“ 元ミスコン女王の司書で趣味は編みもの”という、 自分とは正反対の女性になりすましつつ静かに暮らすつもりが、 到着するなり保安官助手に目をつけられ、 住む家の裏の川で人骨を発見してしまう。 そのうえ町を仕切る老婦人たちに焚きつけられ、 ともに人骨事件の真相を追うことに……。 人口三百に満たない町でいったい何が起きている? アメリカ本国で大人気、型破りなミステリ・シリーズ第一弾。 (「BOOK」データベースより引用)

 

秘密工作員?人骨?笑えるの?と思われるかもしれないが、笑える。

日本ではあまり見かけないが、このような警察組織に属さない主人公(ほとんど女性)が身の回りで起きた事件に首を突っ込んでいく…そして大抵は素敵な男性や美味しそうなお菓子、ご近所トラブルが起こるという、ライトな女性向けミステリだ。コージーミステリと呼ばれている。(コージーとは、居心地が良いという意味らしい)

 

私は割とこのコージーミステリが好きで何冊か読んだが、中でもこの作品は特に笑えてスカッとする作品だ。一般人を装ってアメリカの田舎町に"事件のほとぼりを冷ます" ために来た主人公は、田舎町の生活に翻弄される。日曜礼拝後のデザート争奪戦や、夜中に侵入してくるアライグマなど、アメリカの田舎ってこんな感じなの?と想像すると面白い。あと、主人公と仲良くなる二人のイケイケおばあちゃんがめちゃくちゃ面白い。

 

この作品はシリーズ化されており、日本では昨年秋に3作目まで出版された。

順番は、本作→ミスコン女王が殺された→生きるか死ぬかの町長選挙  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 聖エセルドレダ女学院の殺人 (ジュリー・ベリー /訳:神林美和) 2014 (現在創元推理文庫にて販売中)

あらすじ

十代の少女7人が在籍する小規模な寄宿学校で、ある日の夕食中、校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。それぞれの事情から家族の元へ帰されたくない生徒たちは、敷地内に死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。翌日、科学の得意なルイーズの分析により、ふたりは毒殺されたと判明。生徒たちは得意分野を活かして大人の目をあざむきつつ犯人を探り始めるが…。 (「BOOK」データベースより引用)

 

この作品も、いわゆる"コージーミステリ" に入る。見所は、事件が発覚してほしくない少女たちがあの手この手で大人達の不在を隠そうとするところ。そして、大人不在の生活を満喫しつつ、犯人を探そうとするところ。ここで使われる悪知恵(?)に大いに笑わせられる。

 

実際あり得るとは思えないシチュエーションだが、少女たちの言動には妙にリアリティがあって面白い。もし中学生の自分がそこにいたら、同じようになるだろうな~と思わせられる所が微笑ましくもあり、今はそうもいかない所の寂しさもある。

 

 

 

聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が私のおすすめする「笑える本」たちだ。どれも気楽に楽しめる作品ばかりなので、普段あまり読書をしない人にもおすすめできると思う。

もし興味を持っていただけたなら、この機会にぜひ!!!!!!